認知症の予防と治療:③介護施設を選ぶとき
- この記事の目次
介護施設を選ぶ際の注意点は?
介護を行う際に、在宅か施設か迷う場合があると思います。認知症の程度や症状だけでなく、介護の必要な状況、介護者や家族の負担、介護サービスの利用状況によって検討する必要があります。
介護施設は、年々増加していると共に様々な種類があります。施設を選ぶといっても、施設の特徴やどういう施設があるのかを知り、本人に合っているのか、経済的負担や地理的な環境などを考慮してから決める必要があります。介護はいつ終わるか分かりません。施設選びは十分に考えて行うことが大切です。
次項から施設の特徴を示していきます。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
寝たきりや認知症などにより、常に介護が必要で自宅での生活が難しい人のための施設です。入所により、入浴・排せつや食事などの日常生活上の支援、機能訓練、健康管理などの援助を提供しています。
2015年より法律が変更され、原則として入所できるのは、要介護3以上の人が対象となりました。(要介護1・2の人でも特例的に入所が認められる場合があります。)
介護老人保健施設(老健)
在宅復帰を目指している人の状態に合わせたケアプランに基づいて入所者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、リハビリテーションや必要な医療、看護、食事・排せつや入浴といった日常生活上の支援などを提供します。
入所できるのは、入院治療の必要がない要介護度が1~5で、リハビリテーションを必要とされる人が対象です。
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、介護保険の指定を受けた有料老人ホーム、介護付有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などが、入所している人に食事、排せつや入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを提供します。
認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
認知症の人を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。1つの共同生活住居に5~9人の少人数の利用者が、介護スタッフとともに共同生活を送ります。
可能な限り自立した日常生活を送ることができるように、家庭的な環境と地域住民との交流を取りながら、食事・排せつや入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスを受けます。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、入所者の定員が29人までの介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が、常に介護が必要な人の入所を受け入れ、食事、排せつや入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを提供します。
2015年より法律が変更され、原則として入所できるのは、要介護3以上の人が対象となりました。(要介護1・2の人でも特例的に入所が認められる場合があります。)
介護医療院(介護療養型医療施設より移行)
長期にわたり療養が必要である人に対して、日常的な医療、看取りやターミナルケアなどの医療機能と食事、排せつや入浴などの日常生活上の支援としての機能とを兼ね備えています。
地域密着型特定施設入居者生活介護
可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、入居者の定員が29人までの介護付有料老人ホーム、有料老人ホーム養護老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが、食事・排せつや入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを提供します。
施設を決める際には、必ず見学に行きましょう
施設を決める際、空き状況だけで決めるのではなく、必ず見学に行きましょう。
施設によって入所する介護度の基準、施設の方針や費用は異なります。また、面会に行くのに時間や費用もかかります。特に、緊急時に交通手段があるかどうかなどの対応も考えておきたいポイントです。
見学に行くことによって、パンフレットや説明を受けるだけでは気づけないところも見えてきます。例えば、昼食中の様子を見学する際に、ちょっとしたスタッフの声のかけ方や、食事介助のしかた、スタッフ間のやり取り、施設内の環境などが見えてきます。
また、周りの評判に振り回されないことが大切です。評判は、主観であり、人によって異なるのは当然です。入所する本人や家族にとって、合っている施設かどうかを見極めましょう。
▼認知症QA200問「認知症の予防と治療」の他のQAを見てみる 認知症の予防と治療:①認知症の治療とは? 認知症の予防と治療:②非薬物療法とは? 認知症の予防と治療:④脳血管性認知症の再発予防 認知症の予防と治療:⑤認知症の予防 認知症の予防と治療:⑥地域包括支援センター を活用しましょう 認知症の予防と治療:⑦介護保険を利用するためには? 認知症の予防と治療:⑧居宅サービスの種類と内容 認知症の予防と治療:⑨地域密着型サービス の種類と内容
▼「認知症QA200問」の他のカテゴリを見る 発症から診断まで 認知症介護の注意点 認知症高齢者への接し方
- 【PR】治験参加者募集中!もの忘れなどのある高齢者でも、安心して使える睡眠治療薬の提供を目指して
- 11/28(木)「オンラインフレイル予防講座」防災編を開催(福岡市)
- 10/30(水)「オンラインフレイル予防講座」口腔編を開催(福岡市)
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「脳のスペックを最大化する食事」7/20発売
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「潜伏期間は20年。今なら間に合う 認知症は自分で防げる!」
- 広川慶裕医師の、認知症予防のことがよく分かる『認トレ®️ベーシック講座』開講!
- 知ると知らないじゃ大違い!民間介護保険って何?
- 酸化ストレスを減らすと認知症予防に!秘密はサプリメント
- ユッキー先生の認知症コラム第92回:あるべき姿の認知症ケア
- 認知症専門医による認知症疾患啓発イベントを開催
- ポイントは食生活にあった。認知機能維持に必要なのは・・・
- 認知症予防は40代から!摂ると差が出る栄養素とは。
- 山口先生のコラム「やさしい家族信託」第17回:Q&A 外出自粛で、認知機能の低下が心配。家族信託、遺言、後見、今できることが知りたい
- 【広川先生監修】5分で分かる認知機能チェック(無料)はこちら
- 認知症は予防できるの?
- 認知症の種類とその詳細はこちら