認知症の予防と治療:①認知症の治療とは?
- この記事の目次
認知症の治療とは?
認知症の人への治療は、薬物療法と非薬物療法があります。
医師が認知症を診断し、治療方針が決まります。しかし、高齢者は認知症と診断される前に、他の病気(例えば高血圧や糖尿病)の薬を飲んでいる場合があります。その結果、薬の飲み合わせによっては、本来の薬の効果が十分に発揮されない場合や、効きすぎてしまう恐れがあります。
かかりつけ医であれば、現在治療している薬を把握しているため、認知症の治療を継続して診てもらうことができます。もしくは、認知症の専門病院に紹介してもらった場合、飲んでいる薬をみてもらい、確認してもらいましょう。
非薬物療法とは、薬を用いないで治療をする方法です。例えば、回想法、音楽療法、絵画療法、運動療法、リアリティオリエンテーションなどがあります。
認知症の薬はどんな薬なのか?
残念ながら、認知症を完全に治療する薬はありません。認知症状の進行を緩やかにする薬と考えて下さい。そのため、医師が認知症と診断しても、薬物療法が必要かどうかを判断します。その結果、非薬物療法で治療を行う場合もあります。認知症の人の場合、「薬を飲めば大丈夫」ではなく、日々の生活を維持していくことが大切です。
認知症の薬薬を飲む際の注意点は?
「認知症かな?」と家族が気づく行動のひとつに、「今まで自分で薬を管理していたのができなくなった」「一日中薬のことを気にしている」「薬を飲み忘れるようになった」「薬を飲みすぎてしまった」などがあります。
薬によっては、医師の指示により、朝の薬・昼の薬・晩の薬と一つの袋にまとめることができます。調剤薬局で薬剤師に確認してもらいましょう。そうすれば、飲み忘れることは少なくなります。また、お薬カレンダーやお薬ボックスを準備して、朝・昼・晩に飲む薬をカレンダーのポケットや箱に入れておきます。飲み終わったら薬がなくなっていますので、飲み忘れの確認もできます。
副作用の観察はどうしたら良いか?
訪問看護師が身体の状態観察、副作用の観察を行います。とくに、一人暮らしの場合は、薬の飲み忘れはないかなどの服薬状況の確認も合わせて行います。
また、家族が医師や薬剤師から薬の説明を受けて、副作用としてみられやすい症状を観察し、受診の際に医師に伝えましょう。
薬を飲み始めてから「様子が変だな」と感じた際には、病院に電話して、すぐに受診すべきか様子をみてよいのか判断を仰ぎましょう。
飲みたがらないときどうする?
認知症の人は、「痛い・不調である」という感覚がないため、自分が病気である、薬を飲む必要性はない、と感じています。特に、今まで薬を飲むという体験が無かった人には、薬を飲むことを拒否する場合もあります。
認知症の薬は飲み続けることによって効果が得られます。そのため、何とか薬を飲んでもらおうと家族は必死になり、時には「認知症が進むよ」と言ってしまう場合があります。しかし、本人のプライドを傷つけてしまう恐れがあります。
このような場合、薬の効果に影響を与えずに、飲みやすくするためのゼリーなどが薬局などで売っています。食後に「ゼリーを食べませんか。」と勧めてみるのも方法のひとつです。
また、薬を飲む必要性は理解していても、苦い、飲みにくいなどの理由によって飲みたがらない場合があります。オブラードやゼリーを利用したり、医師に説明をして、口の中で解けやすい薬、水薬や貼り薬に変更してもらう方法もあります。
非薬物療法にはどんな方法があるのか?
非薬物療法とは、薬を用いることなく、脳の活性化を認知症の進行を緩やかにするための方法です。
回想法、音楽療法、絵画療法、運動療法、リアリティオリエンテーションなどがあります。
認知症の予防と治療:②非薬物療法とは?高齢者に副作用が出やすいのはなぜ?
人は年齢を重ねると、身体のさまざまな機能が低下してきます。薬を代謝する臓器は、肝臓や腎臓です。そのため、薬の作用が長時間続いたり、身体の外に排せつされるまでに時間がかかることで効きすぎてしまう場合があります。
また、冒頭の『認知症の治療とは?』の項でも記載しましたが、高齢になると、他の病気(例えば高血圧や糖尿病)の薬を飲んでいる場合があります。その結果、薬の飲み合わせにより効きすぎてしまう恐れがあります。
薬を服用する時間や種類は守りましょう。また、薬を飲んでいつもと違う症状が現れた場合には、病院に電話をして、受診するかどうかの判断を仰ぎましょう。
参考文献:1)今井幸充 認知症を進ませない生活と介護 法研,平成27年,p24~29.
2)朝田隆 まだ間に合う!今すぐ始める認知症予防 講談社,2014,p42~43,p46~83
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