脳細胞も新陳代謝が重要!!管理栄養士がすすめる脳の材料を補給する実践レシピ

2016年4月28日 PR

この記事を読んでわかること

  • 一般的に認知症予防でよく聞かれる必要栄養素
  • 適正量のたんぱく質摂取(脳の神経細胞となる材料の確保)
  • 神経伝達物質であるアセチルコリンの材料になるコリンの確保

本日のレシピ 韓国風茶碗蒸し

本日のレシピ 韓国風茶碗蒸し

たんぱく質が身体と脳の土台をつくる

からだを構成する成分の割合からみると「水」の次に多いのが、「たんぱく質」です。私たちの体はたんぱく質でできていると言っても過言ではありません。それは、脳も同じです。脳の細胞(神経細胞)の半分はたんぱく質で構成されています。

細胞は古いものから新しいものへと入れ替わりを繰り返しています。これが新陳代謝です。細胞の材料となるたんぱく質を良いものにすることで、新たに作られる脳の質も良くなります。

また、脳の細胞(神経細胞)にとどまらず、感情を生み出す神経伝達物質(例:ドーパミン、セロトニン、GABAなど)の材料もたんぱく質です。いかに脳にとってたんぱく質が大切か、お分かりいただけると思います。

細胞は絶えず新陳代謝を繰り返しているため、たんぱく質の不足が続くと、筋肉や血液中のたんぱく質の貯金から脳の細胞へとあてがうことになり、筋肉が衰えてしまいます。また、血液からたんぱく質の貯金をおろすと免疫が低下することになります。

たんぱく質の摂取が不足すると、新陳代謝が滞り、古い細胞から新しい細胞へと置き換わることができず体が不健康になります。そのため、たっぷりと質の良いたんぱく質を補給する必要があるのですが、それにはいくつかのコツがあります。

たんぱく質をただ補給すれば良いわけではない

たんぱく質を脳の材料として利用するためには、まずたんぱく質を胃で消化し、小腸で吸収する必要があります。たんぱく質を消化するためには、ビタミンCとカルシウムが揃っていることと、胃酸がしっかりと出ていることが大切です。

そのため、普段胃薬を多用していたり、胃酸の分泌が少ないと感じている方は工夫が必要です。食事の前に、消化、吸収を促すための準備をおすすめします。

例えば、食事の前に食べ物の香りを楽しむことや、食卓の彩りを目で楽しむことで胃酸の分泌を促進することができます。また、料理を作ることも同様に、消化、吸収の準備体操になるため効果的です。さらに、食事の最初に酸味のあるもの(例:梅干し、お漬物、酢の物など)を食べると、胃酸がスムーズに出やすくなります。食べ物が難しければ、レモン水などを食前や食中に飲むのもおすすめです。

また、たんぱく質は胃で消化し、腸で吸収する事からも、食べ物を良く噛んで食べることは何より大切です。噛めていないと、胃に負担を与え、消化ができないまま腸へ運ばれることになります。食事はゆっくりで良いので、良く噛んで食べてもらえるよう工夫しましょう。

良質なたんぱく質の摂取には「卵や大豆」がおすすめ

たんぱく質の質を評価する上で重要なのが「アミノ酸スコア」と呼ばれるスコアです。スコアが高いほうが良質である証であり、人体での利用効率が良いということを示します。良質のたんぱく質である「卵や大豆」で質の良い脳の材料を補給しましょう。

管理栄養士のイチオシレシピ

本日は良質なたんぱく質の中でも、卵がメインの韓国風茶碗蒸しをご紹介します。鉄や亜鉛などのミネラルを豊富に含んだアサリはコレステロールを正常に保つ働きがあります。さらにビタミンB群、ビタミンCが豊富なニラを合わせることで、卵の良質なたんぱく質をスムーズに消化し、脳のエネルギー源として活用されるのをサポートしてくれる、イチオシレシピです。

本日のレシピ

韓国風茶碗蒸し

●調理時間:約10分
●材料(2人分)

卵(Mサイズ) 4個
あさりの水煮缶 1缶(130g/固形量65g)
にら 1束(100g)
水 220cc・・・A
あさりの水煮缶の汁 大さじ3(45g)・・・A
塩 少々・・・A
酒 大さじ1・・・A
おろしにんにく 1かけ分(8g)・・・A
ごま油 大さじ2~3

作り方
  • 1

    にらを5cm程度の長さに切り、あさりは身と汁を分けておく

  • 2

    ボールに卵を割りほぐし、Aの調味料を加えよく混ぜる

  • 3

    鍋肌(土鍋が理想的)全体にごま油をコーティングし、中火にかけてにらを炒める

  • 4

    ①の卵液とあさりの身を土鍋に加え、スプーンでゆっくりとかき混ぜながら弱火にかける

  • 5

    卵が徐々に固まり始めたら火をとろ火(ごく弱火)にし、蓋をして1~2分蒸し焼きにする

  • 6

    卵液が完全に固まったら出来上がり

この記事の執筆者

管理栄養士
穴山 幸
経歴
  • 女子栄養大学を卒業後、120人以上のダイエットサポート、約5000人のダイエットコンテスト審査員などを経て、分子栄養学に出会う。
  • NPO法人がんコントロール協会 理事 として、癌、難病の方への代替療法、統合療法に携わり、2012年株式会社アミカウエルを立ち上げ独立。
  • 現在オーソモレユラー療法(分子整合栄養医学)の分野で活躍。
保有資格
  • 管理栄養士

ぜひ取りたい糖とコリンについて

たんぱく質もエネルギー源として利用されることもありますが、脳のエネルギー源として優先的に使われるのは「糖質」です。脳が糖質をエネルギー源としてうまく利用できなくなると、エネルギー不足の状態となり、認知機能が低下するとも言われています。現代の食生活では糖質が不足することはまずあり得ないため、量は確保できています。しかし問題は、この糖質の「質」と「食べ方」です。

血糖値を急上昇させてしまうような糖質の「質」と「食べ方」をすると、かえって認知症の原因になることが分かっています。なるべくゆっくりと血糖値を上昇させるような糖質の「質」と「食べ方」に注意し、血糖値の上昇を緩やかにする食生活を心がけましょう。

具体的には、糖質の「質」は、炭水化物(糖質+食物繊維)として補給することが大切です。砂糖やはちみつ、メープルシロップ、人工甘味料などの糖として補給するのではなく、ご飯や雑穀、豆や野菜、果物で糖を補給するように心がけます。

「食べ方」は、まず野菜や海藻、きのこなど食物繊維が豊富な食材から食べ始めましょう。そして、炭水化物はたんぱく質と一緒に補給することで血糖値が緩やかに上昇します。例えば、ご飯だけ食べるのではなく、納豆かけご飯にする、そうめんには温泉卵を添える、パンにはチーズを挟む等の工夫をするように心がけます。

また、大豆に豊富に含まれるコリンは、脳内伝達物質アセチルコリンの材料となる栄養成分です。アルツハイマー型認知症の人が亡くなられた後の脳を解剖して調べたところ、このアセチルコリンの活性が低いことがわかっていることから、その材料となる栄養成分のコリンは認知症予防に有効だと言われています。

コリンは、アセチルコリンの材料となるだけでなく、脳の神経細胞の細胞膜にもたくさん使われており、脳の機能全般に深く関わっています。コリンを豊富に含む食材の代表が「卵黄」です。また、納豆や豆腐、味噌などの「大豆製品」にも多くのコリンが含まれています。コリンからアセチルコリンを合成するためには、ビタミンB群が欠かせないため、コリンと共にこれらの栄養素を補給することも大切です。

まとめ

脳の神経細胞の材料となるたんぱく質は、認知症予防や改善にとって、とても大切な栄養素であることがわかりました。お腹を満たす食事だけではなく、体や脳の材料(栄養)を満たす食事を心がけ、健全な食事と栄養を補給することで、認知症の予防をしていきましょう。

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