【東畠先生の福祉用具コラム(第1回)】 認知症の人の支援機器
かつてない高齢社会を迎える日本。認知症高齢者が増え、多くの方にとって認知症ケアが他人事ではなく、自分事となる社会が迫っています。そんな中で、家族や介護者による認知症ケアをサポートし、認知症高齢者自身の「できること」を減らさないために手助けしてくれる存在として、今、福祉用具や支援機器に注目が集まっています。
このコラムでは、国際医療福祉大学大学院 准教授でいらっしゃる東畠弘子先生に、福祉用具の専門家の立場から、福祉用具や支援機器のいろはについて解説していただきます。
連載第1回となる今回は、福祉用具・支援機器の概要と、認知症との関わりについてお話いただきます。
認知症社会における認知症ケア
認知症と聞くと、皆さんはどのようなイメージがありますか。認知症高齢者は2003年に2015年には250万人と推計されましたが、2012年には462万人となり、予測数値を大幅に上回るものでした。さらに2025年には700万人になると推計されています。そうなると認知症は高齢者の一部の人の話ではなく、「誰でも起こりうる」「誰でも身近な人の体験を持つ」時代に入りました。 そのため国を挙げて認知症と認知症ケアに関する取り組み、早期発見、啓発活動が行われています。認知症ケアに関しては「その人らしい支援をする」というパーソン・センタード・ケア(注)の考えが知られています。
注)英国トム・キットウッドが提唱した認知症ケアの考え方
認知症ケアにおける福祉用具・支援機器
ところで、認知症高齢者と福祉用具・支援機器というと、なかなか結び付かないかもしれません。例えば介護保険での福祉用具の利用では認知症と名がつくものは「認知症徘徊感知機器」だけです。ですが、他にもあります。私なりに整理すると①「忘れる」ことを補う機器、時計、アラームなど、②転倒の防止、事故のリスク軽減の機器、用具、③コミュニケーションや会話の働きかけを促進する機器など?こう考えていくと福祉用具・生活支援機器は広範囲です。認知症の程度にもよりますが、認知症高齢者にとって日常生活をすることは、ここをサポートしてもらえればできることは沢山あります。
このコラムで伝えたいこと
そうした暮らしの支障を機器で支援できると、生活はもう少し楽になるのではないかと私は思います。同時に生活に伴う「危険」にも配慮しなければなりません。このコラムではそうした機器について紹介していきたいと思います。
東畠先生のプロフィール
国際医療福祉大学大学院 准教授
医療福祉経営学博士
厚生労働省「福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会」委員
一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会 理事
【主な著書】
▼外部リンク
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