日本人の死因第3位の『老衰』ってどういう状態?
厚生労働省より平成30(2018)年人口動態統計月報年計1)が発表されました。昨年までは、第1位がん(悪性新生物)、第2位心疾患、第3位脳血管疾患とされてきましたが、今年は第3位に老衰、第4位が脳血管疾患でした。では、老衰とはどのような状態のことを言うのでしょうか。
今回は『老衰』についてご説明します。
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人口動態調査とは?
人口動態調査とは、毎年厚生労働省より発表されている、日本の人口動態の変化を把握する資料で、具体的には、出生や死亡、結婚、離婚などのデータを集計し、今までのデータとの推移を表しています。
平成30年の人口動態調査の結果によると、出生数、人口の自然増減数、死産数、婚姻件数、離婚件数は減少、死亡数は増加との結果になっています。
死因第3位の『老衰』とは?
昨年までの死因の順位は第1位「悪性新生物<腫瘍>」、第2位「心疾患(高血圧性を除く)」、第3位「脳血管疾患」でした。しかし、平成30年から第1位、第2位は変化しませんが、第3位に「老衰」、第4位が「脳血管疾患」に変更となりました。
では、老衰とはどのような死因のことを言うのでしょうか。厚生労働省の死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルによると、「死因としての『老衰』は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用います。」と書かれています。それまで特に死因につながるような病気や障害がなく、年齢によって自然になくなることです。
平成30年の主な死因の構成割合(全死亡者に占める割合)は、悪性新生物<腫瘍>が27.4%、心疾患(高血圧性を除く)が15.3%、老衰8.0%、脳血管疾患7.9%でした。
また、男女別でみると、「老衰」は、男性は第5位、女性は第3位、総数で第3位という結果でした。
自然な死を望んでいても、現実は…
内閣府による平成29年高齢社会白書によると、「治る見込みがない病気になった場合、最期はどこで迎えたいか」についてみると、「自宅」が54.6%でした。また、高齢者の延命治療の希望についてみると、65歳以上で「延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい」と回答した人の割合は91.1%でした。
しかし、現実には、何らかの病気や障害により最期を迎える場所は病院が圧倒的に多いのが現状です。自宅で家族やかかりつけ医、訪問看護師などに見守られながら、老衰で静かに最期のときを迎えるためには、様々な準備が必要です。
例えば、外来や在宅で診療を受けている「かかりつけ医」を持つこと、訪問看護・訪問介護が利用して在宅でのケアや介護が十分に受けられる体制を整えること、誰がキーパーソンとなるのか…などあらかじめ家族で話し合っておく必要があります。
家族で「人生会議」の開催を!
人生の最終段階に自分が希望する治療やケアについて、大切にしていること、望んでいることを事前に考えて、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有する取り組みを「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)」と言います。
どうしても、日本人は死に対する話を忌み嫌う傾向がありますが、今のうちから話しておくことは、本人の意思決定を尊重した医療・ケアを受けることにつながると言えます。
引用文献:1)厚生労働省 平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況(2019年7月11日アクセス)
2)厚生労働省 平成31年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル(2019年7月11日アクセス)
3)厚生労働省 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を「人生会議」に決定しました(2019年7月11日アクセス)
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