認知症ケアの基本~家族や介護者が心がけたいこと
認知症を発症すると、認知症の人本人だけでなく家族や介護者の負担も大きく、お互い疲弊していく場合が少なくありません。家族・介護者が、認知症の人本人とどのように接したら良いでしょうか。
まずは認知症について詳しく知ろう
身近な家族が認知症になったら、まずは「認知症はどのような病気なのか」をよく知ることが大切です。
例えば、尊敬していた両親が、簡単なこともできなくなっていく姿に、はじめは戸惑うことも多いと思います。現実が受け入れられず、絶望感につながることもあるかもしれません。また、何度言っても忘れてしまったり、言うことを聞いてくれないと感じて怒りが湧くこともあると思います。
絶望や戸惑いは、色々なことができなくなっていく本人が一番強く感じています。理不尽な態度や理解しがたい行動を取ったとしても、そこには本人なりの理由があるはずです。その理由がわかれば、「こういうものなんだな」と納得したり、怒りが収まることもあるでしょう。
大切なことは「認知症を理解すること」です。本人の行動について「この行動の裏にある理由はなんだろう」と考えながら対応しましょう。
認知症介護で心がけたい対応は?¹⁾
尊厳を守る
認知症を発症しても「全てがわからなくなる」わけではありません。現在は、認知症になっても地域社会で尊厳のある生活を送れるよう、地域全体で支える施策が進められています。
できることは自分でしてもらう
認知症は突然何もできなくなるものではありません。介護者は、親切心や危ないからという理由で、様々なことを代わりにやってしまいがちですが、自分でできることはどんな小さなことでも積極的にやってもらいましょう。自分で行うことがリハビリにもつながります。
人間にとって、役割を持つことや人の役に立つことは、自尊心を保ち心の安定を保つ一助になります。本人ができることを一緒に考えて日々の生活に取り入れてみましょう。
否定せず行動の背景にある理由を考える
どんな言動にも、その背景には必ず本人なりの理由があります。否定してしまうと「受け入れてもらえない」と感じてますます強く主張したり、意固地になる場合があります。
例えば、徘徊を繰り返す認知症の人の場合、毎日会社へ出勤していた、毎日畑で農作業をしていた、など今までの生活背景による場合もあります。
本人にとっては、行きたい場所があって出かけたものの、途中でわからなくなった結果、徘徊しているのかもしれません。どこに行きたいのか、何がしたいのか、本人の話を聞きましょう。本人が落ち着くまでしばらく一緒に散歩をしてみるのも効果的です。
介護者にもサポートが必要です
介護を家族だけで担うのは大きな負担です。ケアマネジャーを中心に社会資源を活用しながら、介護者も自分の時間をつくるようにしましょう。
例えば、デイサービスやデイケア、ショートステイを利用する、訪問介護ヘルパーや夜間対応型訪問サービスを利用する、介護者の集まりや認知症カフェに参加する、など家族だけで抱え込まないようにしましょう。
出典:1)今井幸充 認知症を進ませない生活と介護 法研,平成27年,p 148 ~151,p199~203
2)厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索(2020年2月13日アクセス)
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