開発中の新薬「アデュカヌマブ」が優先的取り扱いの対象に
審査指定品目に指定、実用化が早まる可能性
アルツハイマー病治療薬として開発中の「アデュカヌマブ(aducanumab)」が、厚生労働省の先駆け審査指定品目に指定されたことを、バイオジェン・ジャパン株式会社が発表しました。これにより、アデュカヌマブの実用化が早まる可能性がでてきました。
「先駆け審査指定制度」とは?
「先駆け審査指定制度」とは、一定の要件を満たす画期的な新薬などを、開発の早期段階から対象品目に指定し、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取扱いをすること、承認審査の期間を短縮することを目的としたもので、新薬の迅速な実用化を図る制度です。対象品目に指定されると、通常の新医薬品の場合、 12か月を目標に審査を行っているところ、半分の6か月に短縮することが可能になります。
厚生労働省は4月、昨年11月までに指定申請があった47品目の医薬品のうち、アデュカヌマブを含む5品目を「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定しました。
アミロイドβだけを標的とする抗体
アデュカヌマブは、脳内に凝集したアミロイドβだけを標的にするモノクローナル抗体です。アミロイドβとは、アルツハイマー病の特徴である脳の老人斑を作るタンパク質。アルツハイマー病の原因のひとつだと言われています。
臨床試験でアデュカヌマブを前駆期および軽度のAD患者に投与したところ、投与する量に比例して脳内のアミロイドβが減少。また、探索的評価項目として臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)およびミニメンタルステート検査(MMSE)の解析の結果、投与する量と時間に比例して臨床的機能低下を抑制することが確認され、2016年9月にNature誌で発表されました。
現在、アデュカヌマブは日本人を含む早期アルツハイマー病患者を対象に、認知機能や日常生活機能の低下抑制への有効性を確かめる第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)に進んでいます。今後、有効性と安全性が確かめられれば、先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、アルツハイマー治療の新薬として活用される日も遠くないでしょう。
▼外部リンクバイオジェン・ジャパン株式会社プレスリリース
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