弄便(ろうべん)とは。弄便の原因と対策

弄便(ろうべん)とは、便をいじる行為です。なぜ弄便が起こってしまうのでしょうか? このページでは、弄便の原因や対策を解説します。

この記事の目次
  1. 弄便とは
  2. 弄便が起こる原因
  3. おむつの中の不快感
  4. 自分で処理を試みている
  5. 便を認識できない・誤認している
  6. 失禁に対する羞恥心
  7. 弄便が起きたときはどう対応すればいい?
  8. 手の汚れを取ってからお風呂場で洗いましょう
  9. 怒らないよう心がけましょう
  10. 弄便の予防や負担を軽減するには?
  11. トイレで排泄する習慣づくり
  12. 壁や床を掃除しやすいように工夫
  13. 介護者がダウンしないようケアマネに相談

弄便とは

大便をいじったり、自分の体や寝具・壁などに擦りつける行為を「弄便」と言います。認知症が進行し、便に対する認識が薄れてしまったり、おむつ内に失禁したことによる不快感、羞恥心など、様々な理由によって起こります。

弄便は繰り返される場合が多く、家族が後始末に追われることもあるでしょう。介護者が精神的に追い込まれないよう、原因や適切な対応、予防策について知ることも大切です。

弄便が起こる原因

おむつの中の不快感

おむつ内に排便をした後に、不快感からおむつ内の便を触ることがあります。便を触った手が汚れてしまい、服や寝具、壁などでふき取ろうとすることもあるでしょう。

この場合は、おむつ内の排泄物に対して不快な感情があるので、排泄の間隔やタイミングを図ってトイレで排便を行う、もしくはおむつ内に排便した場合は速やかに取り替えることが重要です。おむつ内に排泄物が長時間ある場合、不快感だけでなく、皮膚への刺激にもなり、皮膚トラブルや褥瘡の原因にもなりかねませんので、気をつけましょう。

自分で処理を試みている

排便した後に自分で処理をしようとして便に触れてしまうことがあります。便が不潔なものであるという認識がみられるため、早く片付けたいという気持ちがあります。

この場合も、トイレにて排便を行えるように排泄の間隔を図り、トイレまで移動することや、排泄したい様子をキャッチすることが大切です。

便を認識できない・誤認している

便を大切に包んだり、しまったりすることもあります。この場合、便が何であるか認識できておらず、大事なものと便を誤認している可能性が考えられます。

なぜこのような行為を行うのか、落ち着いて聞いてみましょう。介護者は、便が大切に包まれていたり、しまってあることに大変驚きますし、責めてしまう場合もあるでしょう。その気持ちを一歩落ち着かせて、誤認しているものを聞いてみましょう。

失禁に対する羞恥心

便や、便のついた下着を箪笥や戸棚に隠してしまうことがあります。この場合、「失禁してしまった」という羞恥心から隠してしまうこともあるでしょう。自尊心を傷つけないように声をかけることが大切です。

弄便が起きたときはどう対応すればいい?

手の汚れを取ってからお風呂場で洗いましょう

弄便行為を見つけたら、まずは本人が持っている便の処理をします。次にご本人の手を綺麗に拭いてから、お風呂場で洗いましょうお風呂場へ急ぐことに気を取られ、手に便が付いたままにしていると、その手であちこち触ってしまい汚れる事があります。

最後に部屋や寝具などの汚れを取ります。

怒らないよう心がけましょう

上に挙げたように、本人にとっては原因がある行為であり、悪いことをしている意識はありません。何故怒られているのかわからない場合もありますので、なるべく平静に対応することを心がけましょう。

弄便の予防や負担を軽減するには?

トイレで排泄する習慣づくり

排便が定期的にあって、時間がわかるようであれば、便が出る前にトイレで排泄するのが一番です。もよおした時には、もじもじしていたり、力んでいるなど、何かしら気配があることも多いので、見逃さないようにしましょう。

時間を決めてトイレに行くのも効果的です。歩けなくなった状態でも手が動けば、弄便が見られる場合もあります。ポータブルトイレに移乗できれば、ポータブルトイレを利用しましょう。トイレが難しく、おむつを利用している場合は、汚れにいち早く気付き、取り替えるようにしましょう。

壁や床を掃除しやすいように工夫

壁なら、便を擦り付けやすい場所にビニールで作られた保護シートを貼っておくと、汚れた時に掃除が楽になります。

床が畳の場合、畳の目に便が入ってしまい取れない事も出てきますので、畳の上に敷くだけのフローリングカーペットなどを利用するのも良いでしょう。後始末がしやすくなると、精神的な負担が少し和らぐかもしれません。

介護者がダウンしないようケアマネに相談

弄便行為によるストレスで、介護者が倒れてしまう場合があります。家族だけで介護をするのは大変負担が大きくなりますので、ケアマネージャーに相談してみましょう。デイサービスやショートステイなど、積極的に利用するのも効果的です。介護者がダウンしてしまわないよう、見守りが難しいときにはサービスを利用してみましょう。


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参考文献:1)今井幸充.認知症を進ませない生活と介護.法研,平成27年,p169~170.


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