運動で認知症予防
認知症を予防する方法として、有酸素運動が効果的と言われています。有酸素運動だけでなく、無酸素運動の両方を効率よく行うことが大切です。
運動が認知症の予防に効果がある理由と、有酸素運動と無酸素運動の種類・方法について説明します。
有酸素運動とは
有酸素運動とは、ある程度の時間、無理なく続けられるような軽い運動のことを言います。脂肪を燃やす際に酸素が必要となるため、有酸素運動と呼ばれています。
運動すると、筋肉を動かします。その際に脂肪を燃焼させるため、内臓脂肪が減ります。その結果、肥満の改善や予防、インスリンの働きを良くする効果があります。また、運動すると筋肉にブドウ糖が取り込まれるため、血糖値が早く下がります。
有酸素運動の効果は、脂肪を燃焼させるダイエット、全身の血行が良くなる、脳細胞を活性化したり、筋肉を動かすことで脳の前頭葉が活性化すると言われています。
有酸素運動の種類
・ウォーキング
背筋を伸ばし、歩幅を大きく、腕をしっかり振りましょう。ゆっくりペースでは効果が薄いです。会話ができるくらいのペースにしましょう。
・水中ウォーキング
・水泳
・ヨガ
・踏み台昇降運動
踏み台に「登る・降りる」を1セットとして1分間に20セットくらいのペースで続けましょう。慣れてきたら、3の倍数の時に手を叩くなどを取り入れてみましょう。
・椅子に座って足踏み
椅子に座って足踏みを行います。その際、両手を大きく振り、足はなるべく高く上げます。好きな曲に合わせて行いましょう。また、しりとりや計算を行うのも効果的です。
・エアロバイク、サイクリング
・縄跳び
・コグニサイズ
コグニサイズとは?
コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた認知症予防の取り組みのことを言います。全身を使った軽く息がはずむ程度の負荷がかかる運動と認知課題を同時に行うことで、運動の方法や認知課題自体をたまに間違えてしまう程度の負荷がかかったエクササイズです。
コグニサイズは、体を動かし健康を促すと共に、脳の活動を活発にする機会を増やします。その結果、認知症の発症を先延ばしさせることが目的です。運動も認知課題もうまくできるようになることがゴールではありません。課題がうまくできることは脳への負担が少ないことを意味します。課題に慣れ始めたら、どんどん内容を変えます。課題を考えることも大切です。
例えば、左右に横にステップを踏んで3の倍数の時に手を叩く、ウォーキングをしながらしりとりを行うなどがあります。
有酸素運動はどの程度行ったら良いの?
有酸素運動は1回20~30分の有酸素運動を週3回のペースで行いましょう。「こんなにまとまった時間は取れない」という方でも、運動するタイミングを探してみましょう。
例えば、テレビを観ている時に椅子に座って足踏みを行う、外出時にはエレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う、上下2階の移動は階段を使うなど、短時間の積み重ねが大きな結果につながります。
無酸素運動とは
無酸素運動とは、筋肉トレーニングのことです。筋肉トレーニングと言っても、特別な器具を使う必要はありません。瞬発力を出す運動で、筋肉量を増やす効果があります。筋肉を増やすと、基礎代謝量(体を動かしていない時に使うエネルギー量)を増やすため、太りにくい体になります。
筋肉トレーニングは、どこの筋肉を使っているか意識して、ややきついと感じる程度にしましょう。無理してしまうと、続かなくなります。息を吸って、ゆっくり吐きながら動かしましょう。
無酸素運動の種類
・太ももと腹筋のトレーニング
椅子に座り、つま先を上に向けて片足を水平にまっすぐ伸ばします。そのとき太ももの筋肉に意識を集中させましょう。左右10回行いましょう。息を止めないように注意します。
・座ったまま両足を上げるトレーニング
両手で椅子をつかんで、両膝をそろえて胸に近づけます。お腹の筋肉を意識しながらゆっくり呼吸をしながら10回行います。
・背中と腰をひねるトレーニング
椅子に座って、片方の手で反対側の膝をつかんだ状態で10秒保ちます。一度力を抜いてからもう一度行いましょう。背中の筋肉に力が入っていることを意識します。左右10秒×2回ずつ行いましょう。
・すきま時間を使ってかかとの上げ下げ
電車やバスを待っている間、テレビを観ながら、調理の際に、かかとの上げ下げを行いましょう。筋トレとしての効果もありますが、気分転換にもなります。
運動する際の注意点
季節や天候に合わせて、水分補給や暑さ・寒さ対策はしっかりと行いましょう。室内で行える踏み台昇降運動や椅子を使った筋トレなどは、天候に左右されず、室内で行えます。テレビを観ながら、ちょっとした空き時間を使って日々の生活に取り入れてみましょう。
また、運動前後にはストレッチを行い、筋肉をほぐしましょう。急な運動をしないように心がけましょう。
運動を長続きさせるコツは?
例えば、ウォーキングなどを1人で行うのではなく、ご家族や友達と会話をしながら歩くことが長続きするコツです。会話をすることで、息が上がらないようにペースを一定にすることができます。
出典:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」(2019年5月17日アクセス)
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