レミニール(ガランタミン)とは

この記事の監修
高橋秀行先生
鶴川サナトリウム病院 精神科・もの忘れ外来
高橋秀行先生
この記事の目次
  1. レミニール(ガランタミン)とは
  2. レミニールの種類・剤型
  3. レミニールの効果・作用機序
  4. 認知症に対してどのように効くのか
  5. レミニールの薬価
  6. それぞれの剤形・用量ごとの薬価について
  7. 1か月あたりの具体的な薬価例(例:錠剤の場合)
  8. レミニールの注意点・禁忌・副作用について
  9. レミニール服用における禁忌および注意点
  10. レミニールの副作用

レミニール(ガランタミン)とは

ガランタミンはアルツハイマー型認知症の症状の進行を抑制する薬であり、日本では2011年からヤンセンファーマ株式会社より「レミニール(R)」の商品名で販売されています。軽度および中等度のアルツハイマー型認知症に適応があります。


レミニールの種類・剤型

4mg、8mg、12mgの3種類があり、それぞれ1日2回内服します。剤型は錠剤、口腔内崩壊錠(OD錠)、内用液の3種類があり、患者さんや介助者に合わせ選択することが可能です。

特徴
・口腔内崩壊錠(OD錠):少量の水分で溶けるように設計された薬です。口の中に入れると唾液で瞬時に溶けるため、水なしで飲むことができます。飲み込む力の弱い方に便利です。通常の錠剤と同様に水と一緒に飲むこともできます。

・内用液:1回分の液剤が小さなパウチに入っています。先端を切り取り中身を飲み込みます。内服に際し介助が必要な方に便利です。

・錠剤:通常タイプの錠剤です。飲み下す必要があるため、飲み込む力が弱い人には不向きです。メリットとしては薬局で他の薬と1包化してもらうことができます(別途費用がかかります)。1包化とは複数の薬を処方されている場合にそれらを内服のタイミングごとにまとめて1袋にしてもらうことで、飲み間違いや介助者の負担を減らすことができます。

用法・容量
1日8mg(1回4mgを1日2回)から開始し、副作用の有無を観察した上で、4週間後に1日16mg(1回8mgを1日2回)に増量し継続します。その後は症状に応じ1日24mg(1回12mgを1日2回)まで増量することが可能ですが、その前に、増量する前の量を4週間以上継続して内服してから行う必要があります。
1日8mgは有効量ではありませんが、その量から開始するのは副作用の出現の有無を見極めるためと、薬を内服することで起きる神経伝達物質の変化に身体を慣れさせるためです。通常は投薬開始4週間後に1日16mgに増量します。


レミニールの効果・作用機序

認知症に対してどのように効くのか

私たちの脳は神経伝達物質を介して記憶・学習を行なっているのですが、アルツハイマー型認知症では神経伝達物質の1つであるアセチルコリンが脳内において減少していることが知られています。

レミニール(R)は次の2つの作用で脳内のアセチルコリンによる神経伝達を助けます。

作用(1)
神経細胞から放出されたアセチルコリンが受容体に結合することで、情報の通り道が開き情報伝達が行われます。情報伝達が終わると、役目を終えたアセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼという酵素により分解されます。レミニール(R)はこのアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、脳内のアセチルコリンの濃度を高め神経伝達を助けます。

作用(2)
アセチルコリン受容体に作用し、受容体の立体構造を変化させアセチルコリンに対する感受性を高めアセチルコリンの働きを助け情報の伝達を活性化します。イメージとしては、情報の通り道が広くなることで、より効率的に情報伝達が行われるようになります。アルツハイマー型認知症ではアセチルコリンだけでなくアセチルコリン受容体も減少していることが知られており、少ない受容体で効率的に情報伝達が行えるようになることが期待されます。


レミニールの薬価

それぞれの剤形・用量ごとの薬価について

※2014年薬価改定

       
錠剤 OD錠 内服薬
4mg ¥107.30 ¥107.30¥96.60
8mg ¥191.50 ¥191.50 ¥193.2
12mg ¥242.50 ¥242.50 ¥289.8

1か月あたりの具体的な薬価例(例:錠剤の場合)

※1割負担を想定しています
アルツハイマー型と診断されて間もなく服用を開始すると、基本的にはまず1日8mg(2回服用)から開始されます。そこから4週間を経て1日16mgに増量されます(1回の服用量が増えても1日2回の頻度は変わりません)この事から、2か月目以降1日16mgを継続的に処方されている方の場合……

191.50円(8mg錠1錠あたり) ×1日2回× 30日 ×1割負担= 1,149円/月

となります。
※それ以外に薬局の調剤料や病院の診察料(初診料または再診料、検査料など)が必要です。


レミニールの注意点・禁忌・副作用について

レミニール服用における禁忌および注意点

・レミニール(R)の内服を中止・減量すると、認知症の症状が急に悪化することがあります。ご家族の判断ではなく、必ず主治医に相談してください。

・レミニール(R)の適応であるアルツハイマー型認知症は記憶力や判断力が低下する病気です。薬を飲み忘れたり、飲んだこと自体を忘れてしまったりすることがあるので、薬の管理は周囲の方が行うようにしましょう。服薬手帳やお薬カレンダーなどの活用も有効です。

・飲み忘れた場合でも2回分を1度に内服しないでください。すぐに飲み忘れに気づいた場合はその場で内服していただき、本来の内服時間から数時間以上経っていた場合はその内服はお休みにして次の内服時間から再開にしてください。

・心疾患、消化器疾患、肝機能障害、腎障害などがある方は服用にあたり注意が必要です。現在治療中の病気、過去の病気も含め必ず主治医に相談してください。病気によっては通常より少ない量で使用したり、レミニール(R)の使用を控える必要がある場合があります。

・認知症の薬のうち、同じアセチルコリンエステラーゼ阻害薬に属するアリセプト(R)(ドネペジル)、リバスタッチ(R)/イクセロンパッチ(R)(リバスチグミン)との併用はできません。


レミニールの副作用

代表的な副作用に吐き気、食欲の低下、下痢、めまいがあります。これらの副作用は内服を開始した時や、薬の量を増やしたときに出現しやすい症状です。身体が慣れてくると症状が消失することが多いですが、症状が継続するときや、症状により日常生活への支障が大きいときには主治医に相談してください。また認知症の方の場合、副作用があっても自分から症状を訴えることが難しい場合があるので、周囲の方が気をつけてあげることも大切です。


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